紙の文化交流の目的

1,300 年の伝統と技術を継承する日本国の重要無形文化財「本美濃紙」と、約800年の伝統技を有する「アマルフィ紙」は、共に、永年にわたる歴史と伝統の中で、技術を継承し現在に至っています。
しかしながら、手漉き紙の需要の低迷や後継者不足から伝統文化・伝統産業を守っていくことが困難な状況にあります。
こうした中で、「本美濃紙」を有する美濃市と「アマルフィ紙」を有するアマルフィ市両市は、連携・交流し、後継者の育成や世界に向けた情報発信を行うことで、歴史的伝統文化の維持保存と手漉き紙を活用したまち(地域)づくりや販路拡大に資することを目的に、「紙の文化交流」友好協定を行うものです。

美濃市・アマルフィ市紙の文化交流調印式
訪問団

イタリア共和国アマルフイ市の概要

アマルフィ市は、イタリア南部のソレント半島南岸に位置し、ナポリ市から南東37キロメートル のカンパニア州サレルノ県に属するコムーネ(基礎自治体)で、人口約5,000人のまちである。
ソレント半島の南岸約30キロメートル は世界文化遺産「アマルフィ海岸」としてユネスコに登録され、アマルフィ市がその中核となっています。
アマルフィは、中世に地中海貿易で繁栄した海洋国家で、今も市庁舎議場には海事通商法の古典とされるアマルフィ憲章が置かれています。
このアマルフィ憲章は手漉き紙に書かれており、「アマルフィ紙」と呼ばれ、 紙の原材料は綿である。溜め漉き技法で漉かれるアマルフィ紙は、美濃和紙とはことなる肌触りをもつ。イスラム文化圏から伝わった手漉き紙の技法は、ヨーロッパの中でアマルフィに最初に伝わり、広まっていったとされます。
アマルフィに紙漉き紙が定着したのは、製紙に欠かせない清流が豊富に流れていたことにあります。12世紀には大規模な製紙工場があったとされるが、現在はアマトルーダ製紙工場のみとなり、伝統的な手漉き紙が生産されています。

アマルフィ市全景
アマトルーダ製紙工場

美濃和紙あかりアート展inアマルフィ大聖堂「天国の回廊」

アマルフィ大聖堂はアマルフィ市の中核的建造物で、11世紀に建造が始まり、町の守護聖人・聖アンドレアが祀られています。
天国の回廊(Chiostro del Paradiso)は、13世紀に増築されたイスラム様式の美しい回廊で、2013年5月23日、24日の2日間、美濃和紙あかりアート作品15点が展示されました。

アマルフィ大聖堂
天国の回廊

2013年12月開催の文化交流事業

2013年12月22日・23日の両日、アマルフィ市・アルセナーレ(羅針盤とアマルフィ海洋公国博物館)にて本美濃紙保存会の紙漉きワークショップ、提灯製作のワークショップ、美濃和紙あかりアート展、学術シンポジウム、うだつの上がる町並み・美濃まつり・ひんここ祭り等パネル展示や伝統工芸紙製品の見本展示が開催されました。

  • ワークショップでは、アントニエッタ・アマトルーダ氏(アマトルーダ製紙工場)・エミリオ・ディ・シモーネ(アマルフィ紙の博物館)の協力により、アマルフィ市の中学生や観光客を対象として開催され、アマルフィ紙との違いや独特の流し漉きや繊細な提灯製作に、多くの来場者が熱心に見入っていました。また、あかりアート作品や伝統工芸紙製品等、美濃和紙の活用の多様性に、多くの来場者が堪能していました。
  • シンポジウムは、「アマルフィと美濃の職人文化、水の都市:手漉き紙の景観、構造と生産の比較」をテーマに陣内秀信氏(法政大学デザイン工学部教授)、苅谷勇雅氏(小山高専校長)、ダリオ・パオルッチ・マッテオ氏(法政大学エコ地域研究所研究員)、秋山信茂(ローマ日本文化会館)、イタリアから5名の研究者が発表し、総括としてジョゼッペ・フィエンゴ氏(ナポリ第2大学名誉教授)が「両市の伝統的な紙と町並みや建造物を活かしたまちづくりが大切」とシンポジウムを締めくくりました。
あかりアート展201312-1
あかりアート展201312-2
本美濃紙ワークショップ1
本美濃紙ワークショップ2
amalfi紙の博物館ワークショップ
提灯製作ワークショップ
シンポジウム風景
美濃市紹介ブース
提灯製作
あかりアート展inアルセナーレ
市民栄誉賞授与
あかりアート作品贈呈式

添付ファイル

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