「歴史的風致」とは、歴史まちづくり法に基づき、地域における固有の歴史及び伝統を反映した人々の活動とその活動が行われる歴史上価値の高い建造物及びその周辺の市街地とが一体となって形成してきた良好な市街地環境をいいます。
歴史的風致維持向上計画で紹介する美濃市の『歴史的風致』は、次のとおりです。

美濃紙にみる歴史的風致

市域の西北部にあたる牧谷地区は、板取川の清流に育まれ、極めて高品質の和紙の産地として知られます。
1300年余りの歴史を誇り、その強さと優雅な色・光沢をもつ「本美濃紙」の手漉き技術は、国の重要無形文化財として、その保存と技術伝承が続けられています。文化財あるいは伝統産業として手漉き和紙の生産が行われているこの地域一体は、和紙の里としての「ものづくり景観」の保全と地域振興が図られています。

紙漉き
絵図

和紙の里で行われている美濃和紙の生産(本美濃紙)と、明治期に描かれた紙漉き(板干し)の様子

城下町上有知にみる歴史的風致

​​​​​​市街地中心部には、金森長近公により慶長年間に建設された小倉山城跡と上有知の城下町の町割りが今も伝えられています。
美濃和紙や木材、米等の商いで栄えた上有知では、優れた意匠や豊かな造形をもつ「うだつの上がる町並み」が築かれ、今でも数多くの商いが行われています。また、華麗な山車の行列や花みこし、流し仁輪加など、伝統の中に現代的要素も取り入れた美濃まつりなどが行われています。

うだつの上がる町並みにみる歴史的風致

金森長近公の城下町整備にはじまり、尾張藩政下の商家町、近代上有知から美濃町へと変わる最盛期など、各時代の歴史・伝統的な風情を残す「うだつの上がる町並み」では、今もその礎を忘れることなく活気ある営みが続けられています。

城下町
商家

小倉山城跡から望む「うだつの上がる町並み」と、その町並みで江戸時代から続けられている商い(造り酒屋)

美濃まつりにみる歴史的風致

毎年4月に開かれる「美濃まつり」は、「有知のやわた」と言われる中世から続けられる八幡神社の祭礼です。時代とともにその祭礼形態を変え、「仁輪加」「練り物」などは上方文化の影響を受けていると言われます。尾張藩の保護の影響等から名古屋文化の伝搬を物語る「山車行列」や、美濃紙で栄えた上有知を象徴する「花みこし」は、華やかな商人文化の証であり、独特の風情を醸し出し、今に伝えています。

花みこし
山車行列

うだつの上がる町並みを練り歩く「花みこし」と、八幡神社に奉納される山車行列

清泰寺にみる歴史的風致

「うだつの上がる町並み」の繁栄を願ってきた清泰寺は、今でも当時の風習が途絶えることなく、また、上有知を築いた金森家の礎を忘れることなく人々の手により守り伝えられ、風情あるたたずまいを残しています。

清泰寺庫裏
清泰寺で行われる大般若写経

壮麗な建築様式をもつ清泰寺庫裏と、1月、5月、9月の各15日に行われる善月祈祷大般若会

信仰と祭礼にみる歴史的風致

市の山あいには、神話や山岳信仰が息づいており、壮麗な洲原神社社殿や、精巧な彫刻が美しい大矢田神社などの歴史的な建造物が、美しい自然の中で信仰とともに守り伝えられています。
そこでは、八岐大蛇(ヤマタノオロチ)退治を主題とするヒンココ祭や、旧郡上街道沿いで9年ごとに行われる桜曳き神事などの伝統行事が、人々の生活の中で地域の誇りとして継承されています。

ヒンココ祭にみる歴史的風致

大矢田神社の祭礼として行われるヒンココ祭では、独特の親しみと風情をもつ素ぼくな人形劇が行われています。

ヒンココ祭で行われる人形劇
大矢田神社本殿

大矢田神社の祭礼として行われるヒンココ祭で行われる人形劇と、大矢田神社本殿

桜曳きにみる歴史的風致

桜曳きは、立花地区の鹿苑寺境内にある盧山観音堂と、佐ヶ坂地区の地蔵坂峠にある鹿苑寺地蔵堂で、9年ごとに交互に本尊のご開帳を行う祭礼行事です。
人々の強い信仰心により、大切に守り伝えられ、独特の風情を醸し出しています。

桜曳き
鹿苑寺地蔵堂

地区内を行列する桜曳きと、ご開帳が行われる地蔵坂峠にある鹿苑寺地蔵堂

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