本物の美しさ、柔らかさ、そして強さ

【歴史】1,300年の歴史を誇る、美濃和紙の本流にして原点

正倉院に保管されている日本最古の紙は、大宝2年(702年)の大宝律令の際、美濃国(岐阜県南部)、筑前国(福岡県西北部)、豊前国(福岡県東半部と大分県北部)で漉かれた戸籍用紙です。1,300年も昔でありながら、美濃の紙は繊維がむらなく絡み合い、現代のものと同じように柔らかみのある独特の肌ざわりを持っています。
中世になると、文献に美濃の紙名が頻繁に登場するようになります。地域によって、多くの紙が生産され、技術も発展していきました。
江戸時代には、高級障子紙として最上の評価をされ、「美濃判」として障子の規格となりました。幕府御用の紙としても知られています。

美濃国、正倉院、文献

【特徴】昔から変わらぬ、色合い、地合い、風合い

白く美しい、柔らかく強い。求められる要素を極めた紙、それが本美濃紙です。陽に透かすと、繊維が整然と美しく絡み合っているのがよく分かります。本美濃紙は指定された要件を満たしたもので、美濃和紙全製品のうちの1割ほど。長良川の支流・板取川を流れる質の良い豊かな水、最高級の茨城県産大子那須楮、道具は木曽ヒノキと硬い真鍮の漉き桁、竹のひごをそぎつけした漉き簀などを使います。漉き方は縦揺りに横揺りを加えた複雑な方法で繊維を整然と絡み合わせています。書院紙と呼ばれる本美濃紙は、昔から美濃市牧谷地区で漉かれてきました。

障子に使われる本美濃紙

【定義】重要無形文化財「本美濃紙」指定要件

名称 本美濃紙
区分 重要無形文化財
保持団体 本美濃紙保存会(岐阜県)
芸能工芸区分 工芸技術
種別 手漉和紙(てすきわし)
認定区分 保持団体認定
指定年月日 1969年4月15日(昭和44年)
指定要件
  • 一、原料はこうぞのみであること。
  • 二、伝統的な製法と製紙用具によること。
    • 1. 白皮作業を行い、煮熟には草木灰またはソーダ灰を使用すること。
    • 2. 薬品漂白は行わず、 料を紙料に添加しないこと。
    • 3. 叩解は、手打ちまたはこれに準じた方法で行うこと。
    • 4. 抄造は、「ねり」にとろろあおいを用い、「かぎつけ」
    • または「そぎつけ」の竹簀による流漉きであること。
    • 5. 板干しによる乾燥であること。
  • 三、伝統的な本美濃紙の色沢、地合等の特質を保持すること。

こうぞ、叩解、製法

【品位】京都迎賓館にて、本美濃紙の障子が賓客をもてなす

本美濃紙保存会の職人が漉いた紙は、繊維組成・外観・品位を検査され、「本美濃紙」と認められます。
日本の代表的な伝統技術として2005年4月には、本美濃紙の紙漉き職人・澤村正氏(美濃市蕨生)が漉いた本美濃紙5,000枚が、京都迎賓館の回廊、藤の間などの障子や照明器具として使われました。

京都迎賓館 藤の間

照明器具

照明器具

【匠】選ばれた職人のみが漉くことを許される高品位紙

明治から大正にかけて、製造戸数が4,700戸ほどになった時もありました。しかし、高度成長とともに伝統的な和紙を生産する家は減少。危惧した地元の有志が、本美濃紙の伝統技術を絶やさず、継承していくために、昭和35年、本美濃紙在来書院保存会を結成。昭和44年に、現在の本美濃紙保存会と改名しました。重要無形文化財の技術を保持し、本美濃紙を漉くことができるのは会員のみです。

美濃紙の種類

本美濃紙保存会会員

澤村 正・美代子
住所 〒501-3788 岐阜県美濃市蕨生752-3
連絡先

電話・ファクス:0575-34-0146

取扱商品 本美濃紙、薄美濃紙、京間書院紙他
鈴木 はぎ・豊美・竹久(美濃竹紙工房)
住所 〒501-3788 岐阜県美濃市蕨生1806
連絡先

電話:0575-34-0543

ファクス:0575-34-0544

代表者 鈴木 竹久
取扱商品 本美濃紙、薄美濃紙、和紙小物他
石原 英和
住所 〒501-3787 岐阜県美濃市上野416
連絡先

電話・ファクス:0575-37-2940

取扱商品 本美濃紙、薄美濃紙、もみ紙、染紙他
家田 美奈子
住所 〒501-3734 岐阜県美濃市千畝町2710-23(小島方)
連絡先

電話・ファクス:0575-35-2715

取扱商品 本美濃紙、薄美濃紙、彩紙、キラ引き他
倉田 真(倉田和紙工房)
住所 〒501-3788 岐阜県美濃市蕨生2175-2
連絡先

電話:090-1629-6434

取扱商品 本美濃紙、薄美濃紙、雁皮紙、極薄紙他
加納 武
住所 〒501-3704 岐阜県美濃市保木脇385-5
連絡先

電話・ファクス:0575-35-2346

取扱商品 本美濃紙、薄美濃紙、粕入り紙他